ありふれた話とその先のこと

40代既婚者のストリートナンパ

ストリートナンパ12ヶ月の記録

 

 

コロナによる1回目の緊急事態宣言が終わった2020年6月から、「ストリートナンパで毎月新規1即以上を12ヶ月継続」を目標に活動してきたこの1年の記録を簡単にブログに。

 

【期間】2020年6月~2021年5月まで

【自分のスペック】40代既婚、マネギラできない普通のサラリーマン、服装ほぼスーツ、21年6月時点でスト歴2年弱

【活動時間】平日週2日程度、仕事終わりからの数時間で終電死守(遠征等を除く)

【手法】ストのみ(ネト、パスなどスト以外の手段でのGetは数字から除外)

 

 

【各月の概要】

〔6月:2Get〕

  • ストで初即(それまでは準即のみ)を達成するも自爆
  • アポで全然手応え無い子に雑打診したらなぜかノーグダ準即

〔7月:2Get〕

  • 人気風の民をタイミング良く昼アポで準即
  • 昼間から10時間連続ストして足がもげそうになる(結果2連れ坊主、後日1準即)

〔8月:5Get〕

  • 初めてビジホとって一晩スト、結果2即
  • ぴえん系JDを準即
  • オバフォーコンビによるJD2コンパでホテル搬送したのにアビーさん殴られ負け笑
  • ブログを書き始める

〔9月:2Get〕

  • アビーさんと同日即したけど自爆
  • 連れ出し子が電話で彼氏にこの人に抱かれてもいいか聞き出して負け
  • 顔刺し?でJDノーグダ即

〔10月:4Get〕

  • ハイスペ外国人を準即(初の国際Get)
  • 雨の中ありゃさんとGT、朝方6時に即
  • 初MストでアラサーOL即

〔11月:3Get〕

  • 帝都遠征で会いたかった多くのクラスタと合流、2泊2即(8連れ負け・・・お会いしたみなさんありがとうございました、特にダリさんお世話になりました)
  • 一声目で彼氏とケンカ直後の風の民旅行者を弾丸即

〔12月:1Get〕

  • 連れ出し負けを連発し、連敗記録を更新しかける
  • パーティー帰りのエロいドレスの巨乳子を仕上げるも彼氏からの電話でホテル前破綻
  • 坊主のまま迎えた活動最終日のクリスマスに粘って彼蟻保育子を即(結果自爆)

〔1月:2Get〕

  • 年明け早々にアイドル系JDを幸先よく即るも緊急事態宣言再発令で人激減
  • 連れ出し先で案件の友達が偶然ネトアポしてて野生と即席2-2になってキス負け
  • 久しぶりのアポで高身長美容部員を準即

〔2月:1Get〕

  • 路上で声掛けた案件にいきなりグーで殴られる
  • ホテル負け、リーセ2日目負けを連発
  • 最終日に準々即で坊主回避

〔3月:2Get〕

  • 食い付きないJDとのアポで20回ぐらい“おっさん”言われながら魂のホテルインしたけどキス負け
  • 冬の停滞に危機を覚えてジョニさんの講習を受講し、ナンパ人生最大の衝撃を受ける
  • 予備校生を弾丸即

〔4月:3Get〕

  • マンボウで過疎ったド平日にジム帰りお姉さんを弾丸即
  • バイオリンが特技のお嬢様学生を直ホで準即
  • 外資系勤務めんどくさいアラサーOLを準即

〔5月:1Get〕

  • 気合い入れて準備していた遠征が緊急事態宣言で無念の延期
  • 即系と思って連れ出した案件が割と大きめの店の経営者で、経営論とファイナンス論に終始してしまい負け
  • JDを直ホで弾丸即して目標達成

 

【結果総括】
  • 目標:毎月新規1即以上達成
  • 総Get数:28(即17、準即10、準々即1)
  • Get平均年齢:26.6才
  • 声掛け数:未カウント
  • バンゲ数:未カウント
  • アポ勝率:50%(11/22)
  • 連れ出しからの当日即率:26.2%(17/65)
  • 連れ出しからの最終回収率:33.8%(22/65)
  • 1即あたりの活動時間数:約12時間(334h/28即)※アポ時間を含む概数
  • 自爆(終電逃し):3回
  • 使ったお金:思い切った海外旅行に余裕で行けるぐらい

 

【評価等】
  • ネトナンと比較すれば効率が良くないことは数字の上でも明らか
  • 無駄連れが多いが、逆に言うと4人連れ出すと当日1人は即れるし、3人連れ出すと1人は後日回収できる
  • アポ負けと自爆が多すぎ、コストも掛けすぎ、アポの勝率はせめて7割必要
  • アポ負けした案件はほとんどがアラサー(9/11アポ負け)
  • ビジネスホテルとって朝までナンパすると即れる(5即/4泊)
  • 彼有り・人妻でも即れる(7/28人)
  • JD・OLが全体の7割近くを占める(19/28人)
  • 数字はもっとちゃんとカウントしておけば良かった(特に声掛け数)

 

即数インフレが加速し、月に100即するプレーヤーがいる中、またコロナ過という状況の中、この結果がいいのか悪いのか正直よく分からないけど、一年間ほぼ毎週ストに出たところだけは素直に自分を評価したい。

ただ、ストに夢はあるかもしれないが、経験も才能もないじじいがそれを掴むには、相応のコストと犠牲を払う必要があることを証明してしまった気がしている。

 

12月と2月は本当にギリギリで、どちらも活動最終日になんとか即ってノルマ達成。特に12月はかなり追い込まれてクリスマスに100声はかけたと思う。5月もGWと3度目の緊急事態宣言、遠征中止が重なって危なかった。

 

結局ナンパなんて人生のスパイスでしかなくて、ナンパで人生が大きく変わったりしないけど、かと言ってただの無駄では無いし、得られるものは確かにあったと思いたい(リスクや道徳の話は今回は触れない)。

 

この期間に合流してくれた方々、ナンパを教えてくれた方、数少ない有用なナンパコンテンツを作成してくれている方にお礼を。また会ったことはないけど、ストイックにストリートに向き合っている“スト師”のツイートやキャス、ブログにはいつも刺激を受けてきた。一人だと途中で投げ出していたと思う。

 

今後の課題は女の子の質向上と、苦手な夜職やギャルといった強めへの対応。この辺りには全く歯が立たってない。それにコストも抑えないと、単にSEXするだけなら完全にパパ活した方がマシなレベル。

 

でも、これからはもうちょっと力を抜いてやっていきたいかな(決して手を抜くという意味ではないけど)。それからやっぱり100は目指したい数字(結構しんどいから、これまでのスト以外の分もカウントするけど)。

で、何だかんだ言いながら今まで続けられたということは、結局自分はナンパが好きなのかも(あんまり認めたくないけど)。

 

今回はただのクズ男のゲスな記録なのでこれで終わり。

 

最後に出会ってくれた全ての女の子達ありがとう。※数字にしてしまってごめんね

 

 

春探し

 

 

「2年間お世話になりました」

 

「こちらこそありがとう」

 

他人行儀でどこかよそよそしい挨拶。

無理もない、ここ数ヶ月でまともな会話は仕事関係を除いてほとんどしていない。

 

「お元気で」

 

「君も」

 

「もうだめですよ」

 

「うん」

 

拍子抜けするようなあっけない別れ。いや、むしろ始まってすらいない。

 

意味のない後悔の繰り返しと、どうしようもなく不甲斐ない自分への怒り。この無限ループから抜け出す方法は?

 

桜の咲く頃、頭に浮かんだあまりにも馬鹿げた考えに途方に暮れながら、君の小さな背中を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬、自分を街へ駆り立てていたのは怒りだったのかも。弱い自分への怒り。費やしている労力と時間に対して圧倒的に結果が足りない。

再度発令された緊急事態宣言で減った人は別に気にはならず、自分的にはむしろ声掛けやすいぐらい。真冬の寒さも暑がりな自分にはむしろ都合がよくて苦になることはなかった。

 

ただこの間、全く結果が出なかったわけじゃないけど、感覚としては全敗している気分。どこかが何かが足りない。限られた時間、条件の中でも勝てる強さが欲しかった。現実社会ではすぐに逃げてしまう弱い自分に勝てる強さ。赤く染まったビルの下、謎の義務感のようなものに駆り立てられて声を掛け続けた。

 

 

「帰るんで大丈夫です」

 

「遊びたいんなら他あたって」

 

「月曜日から元気ですね」

 

「おじさんは無理、諦めて」

 

・・・いきなり無言の中段パンチ

 

やっぱり冬の反応は厳しい・・・

 

一方でTwitterから流れてくるネトナン直ホみたいな即報を目にする度に心が少し揺らいだ。仲間と呼べるような人達との繋がりが無かったらとっくに折れていたかも。

出ればほぼ即れるという領域に達していない限り、ストリートナンパは他の手段に比べて極端に効率の悪いものになる。しかしそこに達している人はごく一握り。同年代だと数えるほどしかいないんじゃないか?

 

最初のモチベーションが高い数ヶ月間、いわば熱病のような期間を過ぎると、その事実に気づいた人達は当たり前のように辞めていく。誰もが凄腕になれる訳じゃないし、同年代だと1即すらままならない人が多いのも現実。

 

 

冬のイルミネーションがいつの間にか終わり、コロナで盛り上がりに欠けたバレンタインもあっという間に過ぎて行った。歳を重ねるほどに季節は驚くほどの早さで駆け抜ける。

 

 

この冬も多くのナンパ師が様々な理由で去って行った。いつまでもこんな事やってる方がおかしいんだからそれは普通のこと。ストを継続するということは途方もない人生のリソースを犠牲にする事になる。当たり前にナンパ以外の生活のクオリティは下がるし、リスクも負う。こんな馬鹿なことは辞めて他の事をした方がいいと思うようになるのはよく理解できる。

 

でもここに意味は無いのか?これはただの空虚な無駄なのか?

 

少なくともこんなことができるのは今だけ。金儲けも他の趣味ももっと歳とってからでもできるけど、ストリートナンパをするにはは今でも遅いぐらい。マッチングアプリが台頭し、女の子の貞操観念は過去にないぐらい低くなっているらしい。そんな時代にストリート至上主義とかでは全然ないけど、自分が路上で探しているのは単なるSEXじゃないことは確か。

 

 

 

冬が春になりかけたころ、何かを変えたくて、ある人に講習をお願いした。ちゃんとした講習を受けるのは初めて。その人は一度会ったことがある正真正銘の本物で全てが規格外。教えてもらった詳細はもちろん書けないけど、本物の強さを体感できたし、その日から明らかに自分の意識が変わった気がする。文字情報だけでは伝わらないものがリアルには絶対に存在する。

 

 

 

ただその後もなかなか上手くいかない。惜しいところでの取りこぼしも多かった。

 

「今日は生理だから今度ね」

 

「一回目では抱かれない主義なの」

 

「もう遊ぶの辞めた」

 

「付き合う前にする意味って何?」

 

「結局ただのヤリモクやん」

 

やっぱりナンパって難しい・・・

 

そもそもすぐに変われるほど自分は器用でも若くもない。理想と現実のギャップに少しイライラしていた。

 

 

 

 

 

そんなある日、彼女と出会った。ちょうど桜が満開になる頃。

運命とか偶然なんかじゃ全然なくて、自分が怖い目をして探し続けてただけ。見つけた瞬間にピンときたからすぐにターンして声掛け。上手い人は一歩目が異常に早いのを自分は知っている。

 

 

「春っぽいですね」

 

「えっ?」

 

「いやー春っぽい、お姉さんの服装」

 

「ふふ」

 

「白とネイビーの着こなしが凄く春っぽくていいですね、俺と全く一緒のコーデ笑」

 

「確かに一緒!、靴まで同じ色笑」

 

彼女は見たところ20代前半。白のブラウスとネイビーのスカート。よく考えたら別に春っぽくもなんともないけど、身に纏う雰囲気に春を感じた。

 

「何してたの?仕事帰り?」

 

「友達とご飯行ってた、まだ働いてないから!」

 

「俺は仕事帰りのただのサラリーマンだけど、学生?」

 

「そう大学生、まだ二十歳!」

 

「何だ、ただの小娘か笑」

 

「声掛けてきといて小娘とか失礼にも程がある笑」

 

「確かに失礼やな笑、でも俺と乾杯だけしてから帰った方が今日を幸せに締めくくれるみたい」

 

「何それ笑、でもこういうのについて行っても後悔したことしかない笑」

 

「後悔ってそれやってしまってるやつやん笑笑」

 

「だから今日は帰る!」

 

「イケメン風サラリーマンに声掛けられたのに遊ばない方が後悔するらしい」

 

「自分で言うとか頭おかしい笑」

 

何だかんだ言いながら彼女の足は止まっているし、身体の距離も近い。ジュースだけでもいいからとか、早くしないと自販機すら割り勘になるで、とか適当なことを話し続けた。彼女は少しお酒を飲んでいて何を言ってもケタケタ楽しそうに笑っている。

 

そこから意識したのはあの規格外の強さ。言葉では表現できないけど、強さは強引さとは違うし、ちゃんと使うところを見極める目がいる。そして今は慎重さを捨てる時。

 

 

「え、もう腕組むの?さすがにこの早さは初めてかも笑」

 

「大丈夫、俺なら間違いない、絶対後悔させないから付いてきて」

 

「ちょっとだけカッコ良いこと言いながら人の胸触るの辞めて貰っていいですか?笑」

 

「これは死んだ祖父の遺言で仕方ないんだ、すまない」

 

「変態一家かよ笑笑」

 

 

適当なことをしゃべり続けてそのままホテルへ誘導。当たりが強めの彼女に何を言われても動じないフリをしてたけど、内心はこれまでの破綻が頭をよぎってヒヤヒヤ。

でも彼女は口ほどには嫌がってないのが身体から伝わってきた。女の子の言葉じゃなくて行動を見ろとよく言われるけど、触れた身体から伝わってくる感覚や感情みたいなものが一番信用できる気がする。

 

 

 

 

 

部屋に入ると何のグダもなくキス。

 

これまでの苦労が何だったのか分からないぐらい拍子抜けするような即だった。

 

 

 

別に技術とかじゃなくて単にタイミングが良かっただけのこと。

でも1年前の自分にはできなかったはず。

声を掛け続けないと拾えないし、試行錯誤せずに楽な道に逃げてたら絶対に逃してた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっとこのまま繋がってられたらいいのにね」

 

事後、ベッドの端で急にしおらしくなる彼女、さっきまでの強がりと明るさが消えていた。

 

「後悔してる?」

 

「ううん、後悔はしてないけど、離れるのがちょっと寂しいかな」

 

「じゃあ後もう少しだけこのままいよう」

 

「本当はね、私大学生じゃない。高校卒業して働いてたけど、周りの友達が楽しそうに大学行ってるの羨ましかったし、お母さんと同じ仕事がしたいって思って仕事辞めた。4月から予備校に行くんだよね」

 

「すごいやん、そういう決断できて行動できる子いいと思う、俺にはそんな決断できないからシンプルに尊敬したわ」

 

「でも私頭悪いから不安」

 

「しんどくても結果が出なくても努力だけは自分を裏切らないから。もし受験が上手く行かなかったとしても努力した自分は後で財産になる。全部は繋がってて人生で無駄な経験なんて一つもないと思う、だから頑張れ。まあ俺に付いてきたぐらいだから絶対受かると思うけどな笑」

 

「ちゃんとまともなことも言えんだね、何かありがとう笑笑」

 

 

ちょっと照れくさそうに、でも素直に笑う彼女。

そう、自分はずっとこの顔を探しているのかも。

やってることはゲスでしかないけど、なぜか心が繋がって洗われる瞬間がある。彼女にとっても今日のことがプラスになったらいいなあ、なんて勝手なことを考えながら彼女の頭を撫でた。

 

こちらこそありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、もうちょっとおっぱいあったら完璧だったのに、残念すぎる」

 

「は?さっきまで散々揉んでたくせに!」

 

「せっかくだからもう一回しとこう」

 

「死ねよ変態オヤジ!!笑」

 

 

 

また彼女のケタケタ笑う明るい声が部屋に響いて、それをキスで塞いだ。

そう言えばさっきまでオレ何に怒ってたんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、君のことを思い出さなくなってきたよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりの時はいつか必ず来る。でもまだやり切ってない。弱い自分から逃げたくないし、もっと強く、上手くなりたい。例えそれが意味のない空虚だったとしても、無駄なんかじゃないはず。いや無駄だからこそやる価値がある。

 

過去と今の自分を否定したりせず、のめり込み過ぎないように、でも真摯に全力で、決して交わることのない二つの人生を歩む。

他人は関係ない、これは自分との約束。

 

 

優しげに吹く風。

見上げれば頭上に咲いた春。

今日のことさえすぐに過去になってしまうけれど、花のように名残る出会いと別れを後もう少しだけ。

 

 

 

雑感(2020年末)

 

 2年ほど前まで自分がやるとは全く思ってもいなかったストリートナンパについて、コロナによる中断など色々あったものの、それなりに真摯に取り組んだ2020年が終わろうとしているこのタイミングで、これまでの感想というか状況を纏めてみたい。以下あくまで40代歴1年半程度の既婚者による個人的雑感。

  

1 スタートするまでが既にベリーハード

 当たり前だが、不細工なおっさんに抱かれたいという若い女の子は、特殊な性癖の持ち主を除いてほぼ存在しない。男側がOver40だからといって女の子が甘めに見てくれたりしなし、社会的地位などとりあえず路上でのファーストインプレッションでは全く意味はない。初見では見た目が全て。ストリートという場所では小汚いおっさんの存在は許されてはいない。

 そもそも若イケですら無数のガンシカ・塩対に会いながら路上を這いずり回っているわけで、ストナンには女の子が足を止めて話しを聞いてもいいかなと思えるような最低限の外見が必要になる。

 夢も希望もない話だが、実際に会ったことのあるアラフォー以上で結果出している人は、スト・ネトに関わらずほぼ全員が「時空が歪んでんじゃねーのか」と思うぐらい見た目が若くてスト値も高かった。通勤電車でよく見るくたびれたおじさんなどいない。Twitterの変なアイコンとツイートに騙されてはいけない。あんたらそれを詐欺って言うんだぜ・・・。

 ただし、一部スト値に依存せずに結果を出しまくっている異能力者も存在はするが、これはレアケース。現実から目を逸らさず、今までの固定概念を捨てて、見た目を改善し続ける(現状を維持し続ける)しかない。しかしかなりの労力と金がかかる。

 

2 コスパ最低

 次に街に出て活動するための時間を捻出しなければならないがこれがキツい。仕事、家庭、リアルの友人関係、近所付き合い等に時間をとられる中で、街に出てナンパをする時間を作るには生活に必要最低限なもの以外を切り捨てていく他なかった。少なくとも家でボーッとする時間はなくなった。短時間で効率よくGETしてる人もいるけど、最初からそのレベルにいけたら誰も苦労はしないわけで、凡人は量で勝負するしかない。

 活動費も重要。交通費、飯代、飲み代、ホテル代、ナンパは何だかんだいって結局金がかかる。貢がせや割り勘を否定するものではないが、Over40がやるには多少格好が悪い。既婚が貢がせなどトラブルの元だからやらない方が無難だろう。本来家族に使うべき貴重な金から活動費を捻出するか、自前で副業なりに稼ぐことが必要になる。財布を妻に握られている時点で活動の継続は難しい。要するに自由になる金が要る。

 既婚者が単純に性欲を満たすだけでいいなら、ストナンなどするべきではない。金払っても風俗なりパパ活した方が安いし早いし何より安全。ちゃんと見極めればスト値高い女も抱けるだろう。仮にバレても一定の言い訳は立つ。どうしても素人をGETしたいなら効率のいいネトナンの一択。それに比べてストのコスパの悪さは圧倒的。

 

3 実際にやってみたらもっとウルトラハード

 路上で見知らぬ女性にいきなり声を掛けること、地蔵の壁を超えるのは本当に厳しい。若イケですらすぐ脱落する行為なのに、Over40のおっさんがやるのは冷静に考えるとクレイジーでしかない。切腹するような覚悟で何とか声を掛けたとしても、ほとんどがガンシカか塩対応、時には暴言を貰うことになる。

 それでまあ最初は結果が出ない。何時間も徘徊してバンゲできたらまだ上出来なのだが、残念ながらそれも9割はすぐに死ぬ。生き残りとアポっても食い付きのある案件など希なので、おじさん感を出した瞬間に試合終了。準即って本当に難しいし、バンゲなんてほとんど意味がないんじゃないか・・・。

 仮に当日連れ出せたとしても時間がないからと日和って準に回せばそれもまたすぐに死ぬ。雑にギラついても冷笑とともに断られてゲームオーバー。そもそもじじいが安定して連れ出せるようになるだけで世間の常識からすると割と凄いことなのだが、残念ながら自分の目的はそこじゃない。「先生、即って現実に存在するんでしょうか?」っていう時期ほんと長かった・・・。

 なお、若いナンパ師と比較する意味は全くないだろう。フィールドこそ一緒だが、やっているゲームの次元が違う。草野球のおっさんとMLBぐらい違う。参考にはすべきだが同じようにプレーはできないし、しようとしても逆に害になる可能性もある。そもそも彼らは食い付きがあるから簡単そうに(簡単とは言っていない)即れているわけで、同じことをやって結果が出るわけがない。公開されている音声や動画の女の子の反応って、完全に刺さっているものがほとんどで羨ましい限り。おじさんがあんな反応貰えるのは1年やっても1,2回しかないよ・・・。

 

4 それでも続ければGETはできたが…

 ナンパはスポーツと一緒なので続けていれば、全員とは言えないけどそのうち結果は出るようになると言われている。最初は信じられなかったが、ストリートには自分を受け入れてくれる女の子が少ないながらも確かに存在していた。ただし続けること、これは容易ではない。継続するには習慣化するしかないく、ストナンが良い季節の空いた時間にちょっとだけやって結果出せるような甘いものではないことは、ちゃんと出ている人なら分かると思う。

 そしてナンパブログみたいにいつも若い美人が抱ける訳でもない。ばらつきはあるものの、結局のところナンパでGETできる女の子の平均値は自分よりやや下に収斂している。自分はスト以外を含めてもGET数はまだ50以下の初心者なので統計としては不十分かもしれないが、その中で本当に可愛いと言えるのは数人しかいない。最初は即れる案件を即るのが常道であって、その場合相手の見た目レベルは当たり前に低くなる。スト高専門とかエアプ業者の言うことは断固無視。おっさんが最初からスト高をGETなんて出来るわけはない。20代の女の子が40代の男とタダで遊んでくれるだけでそれは僥倖なのだ。

 さらに継続していればGET案件の中から何回も会うようなキープも生まれるけど、それはそれである意味地獄の始まり(今年失敗多数…)

  

5 終わりがない

 既婚ナンパにはゴールがない。ナンパの動機は大きく二つに分類できる。①彼女、結婚相手探し、②ナンパは多くの女の子をGETするゲーム

 ①の場合は、満足いくような相手を見つけた時点で辞めていく。出会いのツールとしてナンパをしているわけでこれは健全な動機とやり方。

 一方で②はナンパに嵌まって依存してしまっている状態。過程で分泌される脳内麻薬にやられたギャンブル依存症の症状と変わらない。それでも独身なら理想とするような相手に出会うことで、ナンパから足を洗う可能性が残されているが、既婚にはそれすらもない。一旦成功体験が一定値を超えてしまうと、砂漠に水を巻くように、渇きに海水を飲むように、いつまでたっても満足しないし、むしろ症状は悪化していくから、誰からも相手にされないクソ爺になって退場になるか、病気・仕事・家庭事情などで強制終了になるまで終わりがなさそう。嵌まると自分では辞められなくなる無間地獄。実際辞めると言っては戻ってくる人を何人か見た。

 

6 バレたら全部終わり

 既婚ナンパは嫁バレ、会社バレ、身バレで全てを失う極限大のリスクを伴う行為。そして結構バレてる人がいる。

 リターンにリスク・コストが見合わないと計算できる正常な人、罪悪感に耐えられない普通の倫理観を持っている人はやるべきではない。バレてからのみっともない懺悔なんぞ誰も聞いてくれはしないのだから。

 

 

 

さて言いたい事言ってすっきりしたので、ちょっとだけやって良かったところを。

 

 

・たまに道行く若い女の子を無料で抱けること による性欲と承認欲求の充足

•ドラマよりもドラマな体験がごく稀にできる

・同じ環境のちょっと狂った、でもかっこいい仲間ができる

 

 

以上。

 

既婚ナンパはどんなに取り繕っても悪でしかないけど、キャバ通いや風俗通いよりはちょっとだけ潔い行為だと思ってる。

 

ところで、活動の目的や動機も含めて色々と忘れそうになってきた。結婚して家庭を築いて、世間一般でいう幸せな人生を歩んできて、そこに不満はないし満足すべきなんだろうけど、この幸せがこの先ずっと続くのかと思うとそれが逆に絶望になったりもする。

 

目的や目標なんてコロコロ変わって当然だし、考えややり方も変化を繰り返えす。首尾一貫なんて硬直してしまってるだけのただの老化現象。節義や道徳なんて犬に食わしとけばいい。オッサンの女遊びがみっともないなんて万も承知。その場その場で日和見的に決断を下し、スケジュールや目的を見直しながら抗うことのできない欲望を実行に変える。今後がどうなるかなんて考えるだけ無駄、自分なりにやり切った感が得られるまでこの狂った踊りを続けるんだろう。

 

 

最後に何が言いたいのかよく分からなくなってきたけど、数少ない(?)全ての既婚ナンパ師に敬意を表して2020年を締め括ります。

 

 

ISLAND

 

 

「せっかくやから海見に行こっか。確かカフェもあったはず」

 

「仕事中なのに怒られません?」

 

「いやいや終わらせたからいいの。それにここで俺らのこと知ってる人がいるわけないやん」

 

「なんか私Sさんのせいでどんどん悪い社員になってる気がします笑」

 

「いやなら別にええけど」

 

「いえ、行きたいです、連れて行ってください!」

 

 

初めて二人だけでの出張。

手早く仕事を終わらせ、君を助手席に乗せて海の見えるカフェへ車を走らせた。

 

観光地とはいえ、平日は人もまばら、すぐに海と空の見えるテラス席に座れた。初夏の海風は柔らかな心地よさと少しの冷たさを含んでいる。

 

 

「ご旅行ですか?」

 

「いえ、仕事なんです」

 

 

女の店員さんに聞かれ少し赤くなりながら否定する君。自分もなぜかドキッとする。

 

え、何で?

 

運ばれてきた飲み物を飲みながら、二人は何も話さない。

 

何かから目をそらすように、ずっと真っ青な海と空を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「買い物中ですよね?」

 

「えっ、そうですけど?」

 

「でも、見たところお姉さんもう十分におしゃれだと思いますよ笑」

 

「そうですか?笑」

 

「ちなみに何買いに行くの?」

 

「化粧品を見に阪急まで。」

 

「じゃあ一緒に行こう、俺もそっちに用があるから。」

 

「え、はあ、、、まあ、ちょっとだけなら。」

 

 

人と会うために来ていた昼間の街で、休日のOL風ファッションに身を包んだ背の高い女の子に声を掛けた。服装の感じとか雰囲気も含めて凄く好きなタイプ。

歩きながらとりとめもない話をする。彼女は照れながらもちゃんと受け答えをしてくれた。なぜか懐かしい気がしたのを覚えている。

 

 

「俺これから人と会うんだけど、その後でご飯でも行かない?多分暇でしょ?」

 

「買い物の後は友達とご飯行くから無理です。」

 

「ウソが上手いね笑」

 

「違う、本当のこと笑」

 

 

彼女は恥ずかしそうに笑っている、対応は柔らかい。でもすぐに崩せるような雰囲気はなかった。

 

 

「まあ今日はそういうことにしとくから、今度ご飯に行こ。俺は普通のサラリーマンでお姉さんの雰囲気に惹かれて声掛けました。」

 

「え、、、うーん、まあご飯だけなら・・。」

 

 

そう言うと彼女は渋々連絡先交換に応じてくれた。25歳のOL。2週間前に彼氏と別れたところ。柔らかい空気感が印象的だった。

 

出会いは夏の始まりの頃。

 

 

 

 

 

 

2度目に会うためのアポは、お互いの都合が合わず何度も流れた。彼女は仕事が忙しく、日によっては帰りが遅くなることもしばしば。

でも本当は街中でいきなり声を掛けてきた得体のしれない男を警戒していたんだと思う。

 

 

ある日彼女の仕事が終わる時間を狙って、普段はあまりしない電話を掛けてみた。

電話に出てくれた彼女の声は、やっぱりどこか懐かしい気がする。

自分から他愛もない日常の話をして、滑り気味の冗談を言って、彼女か笑ってくれて、それでやっと次の週に会うことを承知しくれた。

 

 

 

その日、いつも使う待ち合わせ場所。夏休み期間中はいつもより人通りが多い。

そこに彼女がやってきた。服装はやっぱり自分の好きな感じ。

久しぶりの再会に恥ずかしそうにする彼女を連れて、雰囲気のいい店へ向かった。

 

 

アポは緩やかに進んだ。

彼女には相手に会わせてくれる包容力みたいなものがあって、会話が凄く盛り上がったとかはないけど、一緒にいてとても心地がよかった。多分彼女も同じように感じていてくれたと思う。

 

 

「一緒に居てこんなに心地のいい人は初めて。だからこのまま帰したくない。」

 

 

食事が終わった頃、自然に言葉が口をついて出ていた。彼女は顔を真っ赤にして照れながらも頷いてくれた。

 

 

結果だけ見ればよくある準即。

でも、今までの必死に逆算してトークと打診を繰り返してきたアポとはまるで違っていた。

 

 

 

その後、彼女とは付き合うという約束はしていなかったけど、既婚を隠したまま何度もデートをした。

映画を見て、川辺のカフェで他愛もない話して、彼女の家で一緒に料理を作って、今度休みが重なったらドライブデートもしようと約束もした。

 

 

「トサといると落ち着く。」

 

 

友達からは会うことを止められていたにも関わらず、彼女はいつもそう言って自分を受け入れてくれた。育ちがよく、真っ直ぐで素直な性格の彼女との時間は心地良かった。

そして、そんな彼女に段々と本気で惹かれていった。いや、出会ったときからもう惹かれていたのかも。ナンパを始めてから初めてのことだった。

 

一方で日を追うごとに肩が重くなっていく。それを振り払うようにストに出続けた。

本当はナンパなんかせずに彼女とずっと一緒にいたかった。だけどこれ以上関係を続けると、引き返せなくなるのは目に見えていた。

 

 

「俺は優しい男なんかじゃない。一緒にいても絶対幸せにはなれないから、ちゃんとした人を探して欲しい。」

 

 

会う度に伝えていた言葉。彼女はいつも悲しい目をするだけで、深くは聞いてこなかった。

 

 

 

 

秋が終わり冬の足音が聞こえてきた頃、珍しく深夜に彼女からLINEが入っていた。

 

 

「トサはどうして最後まで踏み込ませてくれないの?貴方の事をもっと知りたい。」

 

 

控えめな彼女から精一杯の意思表示。

一瞬、全てを捨てて彼女と過ごしていく未来を想像した。

でもそれは叶えられそうにもなかった。

 

 

「明日時間ある?話しがしたい。」

 

 

本当は会わずにそっと終わらせるべきなのかもしれない。だけど、自分にはその選択肢は選べなかった。

それが正解だったかどうかは未だに分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、彼女に会って全てを話した。

彼女は驚いて静かに泣いていた。

でも自分を責めるようなことは一言も言わなかった。気付いていたかどうかも言わない。そのことが余計に響いた。

 

 

「話してくれてありがとう。結局最後までトサは優しかったよ。でもこれで終わりだね。」

 

 

違う、俺は優しくなんかない、そうやって自分を守っている卑怯者なだけ。だから彼女には「ごめんね」しか言えななった。

 

本当に俺何してんだろう、ナンパなんてやるんじゃなかった。あの時彼女に声をかけなければよかった。

抉られるような後悔と重い重い罪悪感。

 

 

最後に手を繋いで彼女をゆっくりゆっくり駅まで送った。本当はこのまま帰したくない。何度も何度も立ち止まっては重い足を上げ歩いた。

 

 

駅に着いても壁際で見つめ合う二人。時間だけが意味も無く過ぎていく。

 

 

「いつまでもこのまま居ちゃいそうだから頑張って帰るね。」

 

 

どれくらい時間が経ったか分からなくなった頃、彼女がそう言った。

 

 

「うん。」

 

 

本当は泣くと思っていた。でも涙は出てこない。彼女は必死に笑いながら泣いているというのに。

 

 

「さようなら。」

 

 

いつもの別れ際はしつこいほど振り返って、何度も笑顔で手を振ってくれた。

でも最後の彼女は一度も振り返えることなく、人混みの中に消えていった。

 

 

 

また大切な人を傷つけて失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうなる事は最初から分かっていたはずなのに。

失って、抗って、騙して、捨てて、何度も溺れそうになりながら必死に泳ぎ続けていたら、結局同じ所に戻ってきてしまった。

 

 

“もう十分かな”

 

 

少し前から考えていた思いが頭をよぎった。

どう考えても自分のやっていることは許される事じゃない。いつまでも続けていいものでもない。

 

キラキラとしたクリスマスの装飾が施され始めた街で、救いようのない惨めな男が肩を落としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、ふと顔を上げるとフラフラと歩く若い女の子を見つけた。

考えるよりも先に身体が動く。

 

 

 

 

 

「お姉さん、飲み過ぎですよ笑」

 

「ふふふ」

 

「彼氏とケンカしたやつでしょ?」

 

「そうだよ、何で分かるの?」

 

「俺もさっき彼女とケンカして振られたとこだから笑」

 

 

彼女の背を見送ってまだ5分も経ってない。

 

 

「ホントに?旅行来てるのにさっきケンカして彼氏どっか行っちゃった。酷くない?全然連絡つかないから、コンビニでお酒買って一気飲みした笑」

 

「俺ら似たもの同士だね!せっかくだから酔い覚ましに一緒に散歩しよ。」

 

「え、でも彼氏が迎えに来るかも・・・」

 

「いーから、いーから!最後は彼氏のところに俺が責任持って送り届ける。嫌なことは絶対しないし、ちゃんと面倒みるから安心して。」

 

「うん、、、でもこっちのこと全然分からないから・・・。」

 

「大丈夫全部俺に任せて。それよりお姉さん俺の話聞いてよ!さっき別れた彼女めっちゃ可愛くて性格のいい子だったんだって!俺にはもったいないぐらい。」

 

「お兄さんかっこいいのに何で振られたの?」

 

「それがね、色々あったのよ・・・」

 

 

すらすら口から出てくる嘘と本当の話。相手の表情、声、身体の距離から手応えを感じる。ちゃんとストリートで声を掛けていたら分かるはずの感覚。残された時間とゴールからとるべき選択肢を逆算した。

大丈夫いける。

 

空虚だけど勢いのあるトークと相手への共感を続けながら、ゴール地点へ向かって歩き出す。女の子は酔っていることもあるけど、何かに意思を操られているかのように付いてきている。

 

“女と別れた直後の男は狂気を抱えているからいい声かけをする”

 

後にある人に言われた言葉。

 

 

少し遠回りになるけど、人混みを避けて夜のイルミネーションが見える道を歩いた。トークのトーンとテンポを落とし、シチュエーションを利用して運命感を演出する。

相手はタッチに嫌がる様子はなく、キスにも応じてくれる。自分にだって一瞬だけの弱い魔法ぐらいは掛けられるみたい。 

そのままゴールへ向かって歩き続けた。

 

 

 

 

LHへ入って部屋のドアを閉めると同時にDK。女の子は全く抵抗せずに求めてくる。

 

女の子の携帯をマナーモードにして、そっと相手の白いコートのポケットに入れ、ハンガーに掛けた。

 

"俺は最低のクズだけど、ちゃんと捕まえていない彼氏、お前も悪い"

 

 

 

 

 

女の子をベッドへ押し倒し、荒々しく服を脱がせて、そのまま弾丸即を決めた。

 

出会ってから30分ほどのことだった。

 

  

 

 

 

事後は携帯を取り出し、マナーモードを解除してさりげなくテーブルの上に置いた。彼氏からと思われる着信が何件も入っている画面を見ると、弱い魔法はすぐに解けた。

 

すぐにホテルを出て女の子タクシーに乗せた。運転手さんにお金を渡して宿泊先のホテルまでお願いし、最後に自販機で買った水を女の子に渡してあげた。

 

 

「お兄さんすごく優しかった、ありがとう。早く次の彼女できるといいね。」

 

 

だから俺は優しくなんかないと言おうとしたけど、辞めにして笑うだけにしておいた。

 

彼氏と二人で旅行に来ていた22歳。宿泊先は少し遠いホテル。それ以外は何も知らない。

 

  

 

 

"飛魚のアーチをくぐって

宝島が見えるころ

何も失わずに同じでいられると思う?"

 

 

 

 

冬の始まり、イルミネーションの光が消えた街で、残ったのはナンパ師としてのほんの僅かな手応えだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その週末、時間のできた自分は彼女と行こうと約束していた場所へ一人車を走らせた。

 

海辺のカフェ、少し冷たい風、青い海と空、これはいつか見た光景。

でも隣には君も彼女もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た目も性格も全然違うけど彼女は君と似ていた、いや似ていると思いたかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白いテラス席に座り、触れた手を少しだけ思い出しながら、彼女と過去の自分にさようならした。

 

 

 

 

PINK SMILE

 

 


「同期の女の子達がSさんとまたご飯行きたいって言ってるんです。一緒に行きませんか?」

 

「先月も行ったばっかりやん」

 

「内装が白っぽいおしゃれなお店見つけたんです、奥さんとのデートにも使えますよ」

 

「女子会におっさん連れて行って何が面白いの?」


「Sさんの話面白いってみんな言ってますよ、仕事してるときと全然違うって。来週でいいですよね?」


「俺は君らのATM違うんやけど…」


「あ、バレました?笑」


「どうせならもうちょっと上手に騙して欲しい」


「ふふ、それにみんなSさんに仕事教えて貰ってる私のこと羨ましいらしいです笑」

 

「はいはい、分かりましたよ」


「本当に良い人ですよね笑笑」

 

「笑いすぎ」

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最低、騙された。何もしないって言ったじゃないですか。」

 


あれ、そんなに無茶をしたつもりは無かったけど、もしかしてこれ捕まるやつ?確かに何もしないからアイス買ってホテルで食べようとは言ったかも…。

でも見下ろしている彼女は、いつものように不器用な感じだけど、ちゃんと笑っているから大丈夫な気がした。

 


「騙したつもりはあんまりないんだけど、そんなに嫌?」


「嫌というかちょっと痛い。それに今日は本当にそんなつもりじゃなかったのに。」


「ごめん、でも目の前にいい女がいたら抱きたくなるもんだし。」


「本当に最低!それに初体験がこれって私やばくないですか?」


「何事にも初めてってあるから。」


「答えになってない笑。とにかくもうバイト遅れそうだし、服着たいんで離れて貰ってもいいですか?」

 


平日昼間のホテルの一室。 テーブルの上溶けかけのアイス。ソファーに置かれたぬいぐるみ付きリュック。 ベッド周りに脱ぎ捨てられた服。そして裸の女の子とおじさん。それは一見すると午後のパパ活光景。

 

でも彼女との出会いは、その一ヶ月前の路上。その日は2時間ほどナンパをしたけど、大した成果もないまま帰ろうとしていた時。

前から黒っぽい服を着た典型的な「ぴえん系」の女の子が歩いて来るのが見えた。 彼女らはパパ活や風俗に手を出している場合が多い。そして声を掛けても反応がすこぶる悪く、ガンシカか罵声を浴びせてくる場合がほとんど。 この時も全く期待せず、前から少し手を振りながら声をかけてみた。

 


「ちょっと、待って待って、めっちゃ可愛い!」


「え、そうですか、ありがとうございます笑」

 


予想外のオープン&ビタ止め。顔はアイドル系、最初から距離も近く、笑っている。でも笑顔がどこか不自然な感じがした。無理をして笑っている感じ。

 

 

「ほんとに可愛い、そのリュックのぬいぐるみ笑」


「あ、こっち?笑」


「でもお姉さんもよく見たらぴえん系で可愛いね。それにしても今日のパパはしつこくて困ったよなー。」


「えっ、なんでパパ活帰りって分かるんですか?確かに今日の人には疲れたけど。」

 

「何となく笑。とにかく俺も疲れてるから、ちょっとだけ一緒に休憩しよ。」

 

「えっ、どこに行くんですか?本気で言ってる?」

 

「もちろん本気。どっか座れるとこ。ほら行こ!」

 


パパ活女子と言う属性と時間帯、それに押しに弱そうな印象から、破綻覚悟で直個室狙いを選択した。どうせ準即に回しても死番するだけだし。

そして出会って1分後に彼女の手をとって歩き出した。 彼女はびっくりした様子ながらも拒否はしなかった。

 


「てか、お兄さん誰なんですか、怪しい。」


「仕事帰りのただのサラリーマンだよ。パパといるよりは楽しいと思うし、ちょっと下心ある程度だから安心して。」


「ええー、やっぱり怖いし明日もバイトあるから帰る。」

 


結局連れ出しは破綻。
でも何とか会話で盛り返してLGで解散することに。最低の出会い方なので、次に繋がるとは全然思っていなかった。ただ彼女のどこか不器用な笑顔が少し気になった。

 


ところが予想に反してLINEは繋がった。
彼女は20歳の大学生、実家暮らし。昼は学校とバイトしながら夜はパパ活をしている。男性経験がないこと、パパ活はご飯だけで大人はしていないなど、お互いのことを途切れ途切れにやりとりしていった。

そして1ヶ月後、昼間にカフェで2時間だけならという条件で、ようやくアポを取り付けた。

 

 


アポ当日


彼女の家に近いターミナル駅で待ち合わせて、目的のカフェに入った。そこで彼女は警戒しながらも、少しずつ自分のことを話してくれた。

昔いじめられていたこと。自分の容姿と内面に劣等感があること。家族と上手くいっていないこと。友達がいないこと。男やSEXに興味がないこと。いつ死んでもいいと思っていること。彼女は自己肯定感が低く自分に自信が持てない女の子だった。

 


「昔、いじめられてるときに顔が変って言われて、それからちゃんと笑えなくなったんですよね。だから自分の顔を変えたくて整形するためにお金を貯めてます。ホストに嵌まってるわけじゃないですよ。」

 


本当のことを話しているのかどうか、この時はちょっと疑ってた。
とにかく楽しい雰囲気を続けることに集中し、少しだけ彼女のガードが緩んだ気がしたところで、すぐにカフェを退店した。

どこへ行くんですかと聞く彼女に、まあまあ二人でアイスでも食べようといいながら、コンビニでアイスを買ってホテルへ誘導した。我ながらちょっと強引だったと思う。

 


「イヤ、すぐにバイト行かないとだめだし。それに顔が全然タイプじゃない。」

 

「何もしないって、とりあえず中に入ろう。せっかくアイス買ったし。」

 

「アイス食べるだけですよ。絶対何もしないから。」

 


でも本当に嫌がっていたら付いてこないはず。 全然外見が刺さってなかったので、室内では彼女が本当に嫌がっていないのを確認しながら慎重に進めた。そしてタイミングを見て引き寄せてから何とか準即を果たした。

途中で終わった不完全なSEXになったけど。


そして冒頭のやりとりへ。
時間が無くすぐにホテルを出て彼女を駅まで送り届けた。

 


「今日はありがとう。バイトと整形頑張って。今でも十分可愛いけどな。」


「最初はただのヤリモクだと思ってたけど、話してたら案外まともな人で意外でした。よかったら次もタダで会ってあげますよ笑」


「え、また会ってくれるの?いいよ、またね。」


彼女はようやくちょっとだけ心を許してくれたようだった。ただ改札の向こうで振り返った彼女は、まだあの不器用な笑顔のままだった。

 


その後、自分も彼女も忙しくてスケジュールが中々合わず、そのうちLINEは途絶えた。そしてもう会うことはないかもと思った頃、彼女から「会いませんか」との連絡が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、待ち合わせ場所に彼女は全身ピンクの可愛らしい服装でやってきた。遠目からも明らかに目立っていて、こちらへ歩いて来るまでに男から声を掛けられていた。

でも彼女は男を完全に無視して真っ直ぐこちらへ歩いてきてくれた。

 


「久しぶり、元気にしてた?」

 

「いえ、いろいろあって死にそうでした。」

 

「だからそういうこと言うなって。」

 

「はい・・・、あの・・・見てわかります?嫌ですか?」

 


そう言うと彼女はマスクをとった。

あれ、こんなに可愛かったっけ??

不覚にもたじろいでしまう自分。周囲からの視線がちょっと痛い。

 


「いや・・・凄くいいと思う。とりあえず行こう。」

 


動揺を隠すために前を向き、予約している店へ向かった。

 

 

 


「前よりずっと可愛くなった。アイドルにもなれるって。」


「顔はこれで全部終わり。ダウンタイムだったから会えなかった。辛かったけど自分でもよくなったと思う。」

 

 

テーブルの上の料理に手を付けるのもそこそこ、2人は話に夢中だった。

 


「うん、怖いのによく頑張ったな。」


「でも、今まで整形のために頑張ってきてそれが終わって、やっとスタートラインに立てたはずなのに、次に何をしていいかわからない。やっぱり私には価値なんてない。顔を変えても結局自信なんて持てなかった。」


「いや可愛い、どうみても可愛い、絶対可愛い。だから自信持っていいよ。」

 

「いつも適当ですね笑。トサさんは私が整形とかパパ活してることに偏見ないんですか?どうせヤリモクだから?」

 

彼女は真っ直ぐこちらを見ている。


「全然ない。整形って顔とか見た目を変えることだけど、顔よりも心を変えることに意味があると思ってる。見た目が変わったら気持ちが前向きになれるでしょ?そのために嫌な思いしながらパパ活もやってきたはず。そこまでできる女の子は中々いないって。だから自分に価値が無いなんて言うな。」


「整形のこと良く思ってないみたいで両親とも上手く行ってない。私お母さんとハグするのが好きだったんだけど、お金のためにパパ活してると思うとちゃんとハグできなくなった。」


「親はどんな時も何があっても子どもの味方だよ。少なくとも自分に子どもがいたら絶対そうする。」

 

ちょっとだけ胸が痛んだ。


「そうなのかな。あの、、、トサさんは私をもう一度抱きたいですか?抱きたいなら、何もしないからホテル行こうとかじゃなくてちゃんと言って欲しい。でも良くないことですよね。それに私たちはどういう関係なんだろう。」


「関係性に名前をつける必要なんてないと思う。良い悪いの価値も含めて世の中の常識なん てそのときどきで都合良く作られてるだけ。今度この人に会いたいと思っても、次なんて無いかもしれないし、その時々の気持ちに正直に生きないと後で後悔する。少なくとも俺はそう思ってる。」


「言ってること全然分からないですけど、トサさんって悪い人ではないですよね。なぜか何でも話してしまう、タイプじゃないのに笑」


「笑いすぎ笑。とにかく俺はヤリモクの悪い男だよ。だから最後にちゃんとあなたを抱かせてください、よろしくお願いします。」


「最後か・・・特別にいいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今度は時間があったからピンクの服を大事に脱がせて、彼女の真っ白な体を丁寧にゆっくりと抱いた。彼女は少し安心したような表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「あーあ、彼氏でもない人とまたしちゃった。まだ男の人とちゃんとデートもしたことないのに、この前まで処女だったのに!何でこんなことになったんだろう。」

 


事後の彼女のちょっと照れたような、寂しいような声。

後悔してるとかではないけど、このまま帰してはいけない気がした。

 


「今からデートしよっか。」


「えっ、今から?何するんですか?」


「まあいいから付いてきて。」

 


驚く彼女に急いで服を着させて街へ出た。風が少し肌寒い。

 


「はい、恋人っぽくちゃんと腕を組んで!その微妙な距離感だとパパ活に見える。それからもっと笑って笑って。無理矢理でもいいから。それでそこらの人に見せつけて行こ。」


「何なんですかこれ笑」

 


くだらない冗談を言い合いながら、これまでの二人の関わりを話しながら歩く二人。ゲラゲラ笑うたびにすれ違う通行人が怪訝な顔で振り返る。どうみても不自然なカップルなのだから無理もない。


そのまま、ある場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「すごく綺麗!」

 


年相応にはしゃぐ彼女。二人で夜の街を見下ろした。 ここで偶然出会って、声を掛けて、少しだけ心と身体を通わせた。でも彼女にとって何か意味はあったんだろうか。自分のしていることに何か意味はあるんだろうか。

 


「ちゃんとした彼氏できたらここに連れてきていいよ。」


「うん・・・やっぱりこれで最後?」


「こういう関係は心が残るぐらいでバイバイした方が綺麗だよ。」


「でも、、私やっぱりもう一回会いたい。」


「じゃあ、お前がちゃんとやりたい事を見つけて、もっと良い女になれたら会おう。大丈夫絶対できる。ずっと応援してるから。忘れたりしないから。」


「分かったやってみる。だからもう一度会うって約束して。」

 

「約束する。」

 


多分彼女は本当に良い女になって、今日のことや自分のことなんて忘れてしまうだろう。

でもそれでいい。彼女を通して自分が救われている、そんな気がした。

 

 


すぐに終電時間になり、彼女を駅へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「送ってくれてありがとう。」


「うん、元気で。でも無理はするなよ、困ったらちゃんと両親を頼りなさい。それと何もしないからホテル行こうとか言う男はもう信用しないように笑」


「二度と騙されません笑。じゃあね、バイバイ。」

 

 

手を振りながら改札を通る彼女。


愛とか恋とか友情とか、そんなありふれた言葉なんかでは表現できない。確かなのは、あの日あの場所で彼女に声を掛けてよかったということだけ。

だから自分は後もう少し誰かに声を掛け続けるつもり。

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 


「あ、そういえば私一つだけ嘘ついてたことがある。」

 

 

一人感傷に浸っていると、改札の向こうで彼女がクルリと振り返った。

いたずらな表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「私本当は処女じゃなかったんだ。パパとはしてないけど高校の時に先輩とやっちゃってた。 騙してごめんね笑笑」

 


「はは、そうだったの・・・とにかく恥ずかしいから大きな声は辞めて汗」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


俺まだ良い人過ぎるかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風に乗って微かに感じる秋の香り、ライトグレイの駅構内、黒っぽい上着姿の人々の中

 

 

 

PINKの天使がそこで確かに笑っていた。

 

 

 

 

或る金曜日

 


自分は基本的に休日出られないし、泊まりもほぼ無理。金曜日も出られないというかほとんど出てない。理由はまあ色々。

 

ただ或る金曜日、昨年一度お会いしてその後いつもお世話になっている、ありゃさん(プロセスで勃起するハイスペエリート)が来阪されるとの連絡をいただいた。そしてその日は偶然にも自分が朝まで出られる日だった。


宿をとってストをするということは最低1Get が条件、これは自分に貸しているノルマ。 時間がないとか搬送先がないとか全く言い訳ができないから。

 

終電まで限定ナンパと、泊まり有りナンパは別のもの。どっちがいいとか悪いとかの話ではないけど、泊まりありの方が難易度は低くなる。(パレスありならさらに難易度は下がるはず)


そして、当日。

声掛けが億劫な自分としては珍しいことに、朝から気合いというかワクワクというか、気分の高揚を感じた。まるで部活の公式戦の朝のよう。最近ストに出る回数を増やしたり、声掛けのパターンを変えてみたりして手応えを掴みかけていたのもあったかも。


ただ、どうせ現実はそんなに甘くはないので、朝まで這いずり回って結果なしというのも十分に覚悟はしていた。普段は声掛けがどちらかというと苦痛に感じるタイプ。とくに最初の一声の壁を越えるにはかなりの燃料を消費している。

 

そんな自分がワクワクしているということに若干の困惑を覚えつつ、久しぶりに着る秋冬スーツを纏って仕事を片付けた。半年ぶりに着たスト用ネイビースーツは若干サイズがキツくなっていた・・・。

 


17:30

ビジネスホテルにチェックイン。験担ぎと導線の良さから前回利用したのと同じホテル、部屋タイプも全く一緒。部屋で手早く準備をして街に出た。


合流場所で、ありゃさんと、こちらで独特の活動を続けている毒舌系ネトナン師(今はP活師?)であるくらりんさんと再会。近況報告と地蔵トークが進む、これだけでも楽しい。


くらりんさんは事情により早々に帰宅、多分彼は時間さえあれば凄い結果を出せる人。でも
与えられたカードの中で勝負するしかないことも分かっているクレバーな人。この日は忙いのに無理矢理誘ってすいませんでした。また会いましょう。

その後、ありゃさんに導線を説明しつつ移動。途中、関西の若手で唯一面識のあるスト師と合流してちょっとだけ地蔵トーク。その後繁華街へ移動していよいよコンビストを開始した。


20:00頃

3声目ぐらいでナースとOLコンビを幸先良く居酒屋へ連れ出し。コンビは連れ出しだけならソロよりも圧倒的に連れ出せるけど、そこからが問題。特に自分は経験が少ないので単純に楽しんでしまうだけになってしまい、全く仕上がらず解散。放流後、ありゃさんからコンビでの戦い方についてアドバイスを受ける。

 

21:45 頃

OL&販売員のコンビと路上で和んでいる間に、偶然案件の知り合いが通りがかり、立ち話しを始めるというハプニングを乗り越えて、何とか2組目を連れ出し。

色々ミスするも、ありゃさんに助けてもらいながら進める。しかし自分のトークと方向性が全く定まらない。案件の1人がノンアルかつ二人とも家が近いこともあり、セパれる雰囲気もないままLゲだけして解散。これが普段ソロで陰キャナンパしかしていない弊害かも。


その後は終電までコンビを継続。途中JD風の2 人組と平行トーク中に、さっき合流した若手クラスタとすれ違う。

一瞬だったけど、合った目で激励されていることが分かった。「頑張ってください」「ありがとう」みたな感じ。ウィンクしといたけど気づいてくれたかな?


終電グダの連発でなかなか3組目を連れ出ない。和んでいる案件の知り合いが偶然通りがかるハプニグが再度発生したりして、ついに電車がなくなる時間に。

 

でも「終電後は東京でもこんなに人がいない、今日はいける」というありゃさんの言葉に励まされて継続。一人だと多分帰って寝てたはず。

 

ふとツイッターを開くと1通のDM。ありゃさんに確認してすぐに返信した。
そして、どもんさんとまさかの邂逅(どもんさんはアイコンの忍者飯を持っての登場笑)。

自分が活動する遙か以前から活動されている方で、お会いしてみたいと思っていたが、この日
こっちにおられるとは意外だった。案件が通ったら声を掛けつつ、3人での地蔵トークが弾む。


少しして、ありゃさんがソロ案件を良い感じにコンビニに連れ出したのを確認して、どもんさんと急造コンビ開始。互いの設定も呼び方も何にも打ち合わせしてないけど、なぜかスムーズに声掛けを始めるどもんさん笑。さすがベテラン、自分は合わせるので精一杯。

 

おしくも連れ出し破綻したありゃさんと再会。再び3人で地蔵トークしつつたまに声掛け。街は箱関係と思われる案件や酔って雑にナンパする野生、クラスタと思われる集団、キャッチ等で完全なレッドオーシャン

 

3:00過ぎ

3組目となる販売員コンビをありゃさんと連れ出し。しかし全く食いつきがなく、自分は3分で戦意喪失。またも迷惑を掛けまくってしまう。4:00頃にありゃさんだけがLゲして放流。穴が有ったら入りたい。


退店後、どもんさんからの激励のLINEを確認。最後挨拶できずすいません、もしタイミング合ったら一度クラブに連れて行ってください。


箱周りに移動して粘りの声掛け。まあここらの客層には全く刺さらないし本当に好きになれない。でも果敢に声を掛け続けるプロセスボッキスト。本当にかっこいいです先輩、こんなアラフィフおりません。

5:00頃

自分から提案し、最後のチャンスにかけて駅近辺に二人で移動。タゲはチラホラながら居る。 ローカルストならこんな事すら許されない環境のはず。まだ恵まれていると自分に言い聞かせ、声掛けを続ける。歩行距離はすでに 20km 近くになっていた。


5:30頃

一人で帰る途中と思われるほろ酔い風の女の子を見つけた。ありゃさんには断っていないけど、後ろ姿で絶対分かってくれるはず。

”すいません、行かせて貰います”

 

 


「いやー、飲みましたね、ほんと飲んだわー」


「うん、かなり飲んだ笑笑」

 


ソロでこの日一番のオープン。

さっきまで会社の同僚達と飲んでいたカジュア ル系OLさん。状態はかなり良さそう。

 


「でも最後に俺と1カンだけ飲んでから帰ろ」


「1カンて笑、まあ近くならいいよ」

 


あっさり連れ出し。ホテル飲みを打診したが、さすがにいきなりはとグダ。でも本当に嫌がってはいない様子。雨の降る中、近くのコンビニでお酒を買って閉店した居酒屋の軒下で乾杯した。


彼女は結構酔っていたが、意識ははっきりしていた。飲みながら(自分もめずらしくほろ酔いを飲んだフリ)彼女のニーズを聞き出し、ひたすらメリットとなる提案をし続け、 何とかホテルへ。前日のチェックインから12時間以上が経過していた。


室内ではすぐにギラつかず、トークを継続。彼女は転職を何回かしていて現在は大手企業勤務、プライベートも充実のアラサーOL。仕事関係の男達から言い寄られているけど軽くあしらっているとのこと。


こういうタイプに自分が正面から行くと簡単に負ける。なので相手の話にまともに取り合わず、終始楽しい雰囲気のまま、2つほどぶっ飛んだトークを一方的に投下し、チャラい雰囲気を続けたところ、彼女からも過去遊んでいた開示があり、確信を得てそのまま引き寄せてGET。

出会ってから1時間程度の出来事だった。

 

事後、眠る彼女を1時間半程度で起こし、ホテルをチェックアウトして駅まで送り届けた。ゆっくり寝かせてあげられなくて本当にごめん。

 

そのまま疲労で色んな感覚が麻痺している身体を引きずって帰途についた。 最後のはただのラッキー、それに一人では絶対できなかった。弱音を吐く自分を鼓舞し続けてくれたありゃさんのお陰。コンビでは迷惑ばかり掛けてすいませんでした。このリベンジと恩返しはいつか必ず。


人は増えてきたとはいうものの、終電後はとにかくレッドオーシャン。できればもうやりたくない。そんな中で一応の結果が出せたのはよかった。技術とか全く関係ない、単純に声を掛け続けただけ。

でもあの時、彼女に声を掛けて本当によかったと思う。ストは声を掛けないと何も起きない。


最後にこの日お会いした方、タイミングが合わずお会いできなかった方全員にお礼を。

 

 


これが或る金曜日のできごと。

 

 

Emotional

 

 

 

「Sさんエモいも知らないんですか?笑」

 

「知らない、キモいみたいな感じ?」

 

「そんなこと言ってたらおじさんなのバレますよ。」

 

「本当におじさんだからしょうがないやん。」


「エモいシチュエーションなんて、多分Sさんの方が私よりたくさん経験してるはずですよ。」

 

「恋愛感情ってこと?」

 

「恋愛とか愛ともちょっと違うんですよね、何かこう感情が動かされる感じかな。」

 

「もうちょっとわかりやすい例えで教えてよ。」


「まあ、そのうち分かるんじゃないですか。笑」

 

「そういえば、美術館デートした男はどうなったの?」

 

「全然連絡してないです。あの日はご飯も食べずに解散しましたから。私ってそんなに魅力ないですかね?」

 

「少なくとも色気はないかな。最初見た時は中学生かと思ったし。」

 

「私が初めてSさん見たときは、年の割にはカッコいいなって思いましたよ。そういえば私が中学生の時、Sさんはもう立派な社会人ですよね。笑」

 

「やかましい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー約1年前ー

 

 

 

 

 

 

「あの、合ってます?」

 

「合ってるよ、久しぶり。返信途絶えがちだったから来ないのかと思ってた。」

 

「約束はちゃんと守りますよ。ちょっと仕事が忙しくて。」

 

「そっか、じゃとりあえずあ行こっか。」

 


これまで何度か繰り返してきたアポ。それでも最初の顔合わせはいつも緊張した。 でも流石に頭が真っ白にはならなくなってきた頃。 

 


「そもそも何歳でしたっけ?私結構いってますよ。多分年上・・・」

 

「え、そうなの、何歳だっけ?」


「33才です。」


「俺は32才。32歳と33歳ってすごく相性いいらしいよ。よかったね。」

 

「はは、なんだ年下か。」

 


こちらが年下と聞いて彼女は少しリラックスした様子。(本当は…)

 

久しぶりの会話もそこそこに目当ての店へ向かった。

 

 

 


彼女と初めて出会ったのは平日夜のU地下街。

 

路上で初めて女の子に声を掛けてから約半年。 本格的にストリートナンパを再開してから2ヶ月が経過していた。


圧倒的に地蔵してたけど、いい出会いもあってポツポツとLゲ、連れ出し、アポが組めるようになっていた。でも未だに成果は無し。


成功体験のない中でのストナンは厳しかった。いや、今でも余裕で厳しい。


その日は連れ出しもLゲもできずに疲れて帰ろうとしていた。その時、前方からスーツ姿のOLが歩いてくるのが見えた。

 

アラサー、身長高め、クールで知性のありそうな雰囲気。でも疲れているのか歩くスピードが遅く表情が硬い。

 

多分ガンシカされる。でも何が起こるか分からないから、と思い返して何とかUターンした。

 


「何か疲れてます?」


「え、あ、はい。」

 

「お姉さん顔が物騒ですよ、何かあったんですか?」

 

「いや、仕事で疲れてて。」

 


ぎりぎりオープン。 表情は硬いまま、でも目は笑っているから粘った。

 


「そんなになるまで働くとか、どんなブラック企業で働いてるんですか?」


「ちゃんとした会社ですよ。てかお兄さん何者?」


「通りすがりのいちサラリーマンです。余りにもお姉さんから負のオーラ出てたから気になって。」


「ふふ、それはお気遣いありがとうございます。」


「せっかくなんで一杯だけ付き合ってあげますよ、俺と飲んだら嫌なことも忘れるって有名なんです、まあ俺酒は飲めませんけど。」


「何なんですかそれ 笑。でも、昨日も飲み会だったから本当に疲れてるし、仕事も忙しくて眠いから今日は無理。」


「30分だけ、奢るから。」

 

「ごめんなさい、今日は帰る。」

 

「最近物騒じゃないですか?」

 

「はい?」

 

「変なやつも多いし。」

 

「笑笑、それお兄さんね。」


「だからここは LINE 交換しといて、今度元気な時に俺と飲みに行くってことで今日のところは手を打ちません?」


「笑 それは別にいいですよ。」

 


意外とあっさり応じてくれた。


人が前後左右から行き交うUの地下街。柱の陰に彼女の足を止めてLINE交換。そのままアポの日を決めた。

 

 

「帰りは谷町線?」


御堂筋線。」


「じゃあ改札まで送る。」


「いや、そういうのは恥ずかしい。ここでいいから。」


「割とクールな見た目なのに、恥ずかしがり屋さんなんだ。」


「違います。笑 じゃあね、今度楽しみにしてます!」

 


彼女はそう言って少しだけ元気を取り戻したような足取りで人混みに消えて行った。その時はアポれればラッキーぐらいに思っていた。

 

 


その後の LINE は彼女からの返信が途絶えがちだったが、アポの日彼女はちゃんと待ち合わせの場所に来てくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「自分だけ飲んでごめん。本当に一滴も飲めないの?」

 

「本当に飲めない。けど大丈夫、ノンアルでもちゃんと口説くから。」

 

「何それ。笑」

 


彼女はお酒が強かった。結構なペースでお酒を空けていくが、表情もテンションもあまり変わらない。


自分はお酒が飲めないから最初からウーロン茶。これは別にいつものこと。

 


「本当に仕事忙しくて。仕事量の割に働き方改革で残業もできないから、お昼を食べる余裕もないぐらい。」

 

 

彼女は某外資系企業で働く、いわいるバリキャリだった。転職も何回かして今の会社に落ち着いたとのこと。

 

話を向けると仕事や趣味のことは何でも話してくれた。多分彼女は誰かに話したかった様子。それが突然現れた得体の知れない男でも。

 


「そんなに働いてたら彼氏も寂しがってるでしょ。」


「彼氏はずっといない。もう3年ぐらいいないかも。」

 

「健全な女子でそれは結構やばい。」

 

「仕事楽しいし、最近はお酒さえあれば彼氏欲しいとか思わなくなってきた。」

 

「でも寂しくはならない?」

 

「別に。もうそういうの面倒くさいし辞めた。でもよく考えたらちょっとやばいよね。笑」

 


昔遊んでたけど今は遊ぶの辞めた30代。一番苦手なタイプ。経験値は相手の方が上。 かといって全く刺さっていないとも思えないのがもどかしかった。

 

その後は踏み込んでも上手く交わされて、いい雰囲気にならないまま2時間ぐらいで退店することに。


このまま打診しても多分負ける。でも何もせずに終わるのだけは嫌だった。

店を出たタイタイミングで手を握ってみた。どう考えても唐突な流れの中で。

 

彼女はちょっと驚いた顔をしてたけど、意外にすんなりと受け入れてくれた。

 


「タイプだからあの時震えながら声かけた。」


「うん、ありがとう。そういう時声掛けられるのはすごいと思う。普通の人にはできないから。」


当時というか今でも他に手立てを知らないので、ただのストレート打診。


「じゃあ行こっか。」

 

「え、どこに?」

 

「決まってるでしょ、全部は言わせんな。」

 

「今日は無理やから帰る、今度にしよ。」

 

当たり前のグダ。

 

その後も粘ったけど今日は絶対しないを崩せない。 どう考えても持って行き方が下手過ぎた。

仕方なく手をつないだまま彼女を駅まで送ることに。

 


「今日はごめんね。」

 

「いや、一度決めたら変えないってことは分かってたしいいよ。その代わりに今度な。」

 

「はいはい。」


「とりあえずキスだけしよ。」


「え、ここで?笑」


半分やけくそ。

 

「ちょうどエスカレーターあるからぴったりの身長差になるよ。」

 

「チャラい、恥ずかしい。」

 

「はいこっち向いて。誰も気にしてないって。むしろ見せつけて行こ。」

 

エスカレーターを下る間にキス。

 

彼女は今日初めて本当に恥ずかしがりながら応じてくれた。

 

「ばか。」


「改札まで送るよ。」


「ここでいいよ。あのね。」


「うん?」

 

「トサ君のことはいいなって思ってるよ。別に私も付き合わないと抱かれないとか面倒な事は言うつもりもない。でもまだちょっとだけ怖い。だから今日はごめんね。」

 

「いいって、気にしないで。」

 


キス負け。


まあ全然そういう雰囲気になってないのでしょうが無い。いい加減女の子の「また次ね」の「次」は無い事ぐらいは学んでいた。


これでストはアポと連れ出し含めて10連敗ぐらい。もうそろそろ諦めようかなという考えが頭をよぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ところが翌日1通のLINE が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「来週の月曜なら空いてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2度目のアポ。


あえて対面の席を選択した。


最初から彼女の目を見て、彼女の知性、仕事に取り組んでいる姿勢、飾らない人柄に惹かれていること、自分が一緒にいるときは誰よりもあなたを理解すると伝えた。

 

昔は女の子の目を見てろくに話せなかった自分が、この日は彼女の目から視線を逸らさなかった。

 

そして最後にそんな自分を受け入れて欲しいと伝えた。

 


「分かってる。いいよ、行こ。」

 

 

彼女は半分以上笑っていた。

 

1時間もせずに店を出る二人。


すぐに手をつないでホテルへ。

 

 

 

 

 

目を見つめてキス。

 


「前も思ったけどトサ君、女の子口説くの下手な割にキスは上手いよね。」

 

「やかましい。」

 

 

服を脱がせると彼女は綺麗な赤い下着を着けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


準々即。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストナンで初めてのゲット。

 

子犬同士がじゃれ合うように、二人で冗談を言って、ツッコんで、笑いながら。

そういえばSEXってこんなに笑いながらするものだっけ?今までのとはちょっと違うかも。

 

 




ベッドで彼女に質問してみた。

 


「どうして俺に抱かれてくれたの?」


「あんなところで声かけるなんて男らしいと思ったし、ストレートに抱きたいって言ってくれるところもうれしかった。必死さが凄くててちょっと怖かったけど、悪い人じゃ無さそうだからまあいいかなって。笑」

 


今はそれしか手がないんです。もうちょっと口説く手数増やします。。

 


「仕事の話も通じてとても楽しかった。ちゃんと話や感覚の合う人じゃないと抱かれたいとは思わないよ。それに私も性欲無いわけじゃないし。」

 


多分頭のいい彼女は全部気づいてる、知ってて抱かれてくれてた。 何となくそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「でもね、1回しかできないってどういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 


歳なんです、すいません。次までになんとかします・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、腕組みしながら彼女を送る。

 

最初に声を掛けたときのクールな印象はすっかり消えて、完全に気を許している彼女はとても可愛いかった。


そしていつも重くのしかかってくる街が、今日だけは少し祝福してくれてるように感じた。

 


「改札で見送られるのは好きじゃないからここでいい。」

 

「もう知ってる。そういえば最初に出会ってLINE交換したのもここだったよな。」

 

「あ、そうだね。一応運命の場所だ。」

 

 

行き交う人がまばらになった終電前のUの地下街。柱の陰に彼女の足を止めて別れのキス。

 

じゃあねと手を振って帰っていく彼女。一度だけ振り返った彼女の笑顔を見た時、やっと分かった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ああ、これが君が言ってたエモいってやつか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


彼女とはその後も薄く長く関係は続いた。


彼女は立ち入ったことは何も聞いてこないし言ってこない。


たまに会ってご飯いったり、SEXしたり、しなかったり。

 

彼女と会うときはいつも少し緊張した。
色々と測られている感じ。

 

 


自分がやってることは誰がどう考えても悪。それは分かっているつもり。

 

でも、もう少しだけストリートナンパを続けてみたい。

 

 


そう思えたEmotionalな夜だった。