ありふれた話とその先のこと

40代既婚者のストリートナンパ

ナンパと結婚

 

 

先日独身クラスタから結婚について聞かれたこともあり、イチ既婚ナンパ師として「ナンパ」と「結婚」について改めて考えてみたい。

もちろん「一生結婚はしない」と心に決めている人にどうこう言うつもりは全くないし、むしろそういう人には尊敬の念を抱いている。これは本気で結婚したいと思っている人向けの内容。

 

1 一般的日本人の性経験

結婚とナンパとSEXは切っても切れない関係なので、まずは日本人のSEXの現状について確認する。国立社会保証・人口問題研究所(以下社人研)が5年ごとに行っている「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)2015」によると、18才~34才までの日本人男性のうち何と42.0%が「性経験なし」と回答している。女性も44.2%が経験無し。俄には信じられないが一応公的機関の調査なので本当なのだろう。

少子化が進む云々の前に童貞化が進む日本の現状を国は施策としてどうにかすべきであるが、とりあえずここではこれ以上触れない。

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2 一般的日本人の経験人数

これは公的機関の統計が全くないので、仕方なく相模ゴム(株)のアンケート調査(2013)から引用するが、男性11.1人、女性5.1人、全体で8.1人が平均人数(中央値は3人となっている。ただし1の結果と見比べると直感的には少し多いように感じる。これはコンドームメーカーのアンケート調査に答えるぐらいなので、性経験が浅い人たちが避ける傾向があったのかもしれず、実態の人数はもっと少なくてもおかしくない。

月1即の年間12即のショボ腕ナンパ師でも1年で日本人男性の平均生涯経験人数を超えてしまうのだ。

 

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3 初婚年齢、交際期間

次に日本における結婚の現状について確認していく。上記社人研の「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)2015」によると、男性の平均初婚年齢は30.6才となっており、結婚までの平均交際期間は4.26年。交際期間は昔に比べると年々長期化しおり、みんな割と長く付き合ってから結婚しているという印象を受ける。

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4 結婚相手と出会った年齢

同じく「出生動向基本調査」によると最終的に結婚した人のうち半数は25.5才に後に結婚する相手に出会っており、また73.0%の男性が30才までに、87.4%の男性が35才までに結婚相手に出会っている。運命の相手とは比較的早い段階で出会っている。

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5 出会いのきっかけとしてのナンパ

では次に結婚相手と出会ったきっかけについて見てみたい。以下は1と同じく社人研の「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)2015」からの引用だが、きっかけがナンパと思われる「街なかや旅行先で」は全体の4.3%となっている。いわゆるリアコミュの学校(11.2%)、職場・仕事関係(33.2%)、友人・兄弟の紹介(28.6%)に比べればもちろん少ないが、結婚相談所(1.1%)より遙かに多く、見合い(4.6%)と同等の割合になっている。

最新の調査が2015年しかなく少し古いので、今ならマッチングアプリ経由もかなり増えていると思われるが、ナンパは自力でやれる婚活ツールとしてはかなり有効な手段と言える。

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また厚生労働省の「人口動態調査」(2020年)によると2020年の日本の婚姻数は525,507件なので、かなり乱暴だがこれに上記ナンパ割合(4.3%)を掛けると、年間22,596組カップルがナンパをきっかけに結婚していることになる。

印象としては思ったよりもナンパをする男は多いが、これは“飲み屋でちょっと声を掛けてみた”とか、“旅先で偶然意気投合して”みたいなライトなものも多いと思われる。現場に出ている人なら分かると思うが、街中で無差別声掛けを年単位でやるような重度のナンパをしている人はだいたい面子が決まっていて、入れ替わりはあるものの実態としてそんなに人数が多いわけでは無い。

 

6 結婚による人生の幸福度

「じゃあそもそも結婚したら幸せになれるの?」「独身のまま自由気楽に過ごす方がはるかに楽しい!」という疑問や意見も多いと思われるが、それに対する調査結果は以下のとおり。(グラフはすももさんのツイートより)

「世界価値観調査2017~2020」(社会学者による国際プロジェクト)によると日本人男性の幸福度は、結婚していない人が先進国最下位なのに対して、結婚している人は中位ぐらいにランクアップする。メディア等の発するイメージとは逆に独身男性に比べて結婚している男性の方が人生の幸福度は高いのだ。

この他にもこのグラフはもの凄く多くのことを語っていると思うがここではあと一つだけ、日本の独身女性は世界一幸福であるが、それは少なからず独身男性からの搾取により成り立っている(のかもしれない)。現に無差別殺傷事件を起こすのは独身男性が圧倒的に多い。ジョーカーを生んでいるのは誰なのか。

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7 乱暴なあるいは平均的結論

上記を簡単に纏めると以下のとおり。

  1. 一般的日本人男性の性経験に比べてナンパ師の経験人数は異様に多い(当たり前)
  2. 結婚している男性は比較的若いうちにパートナーを見つけており、結婚までの交際期間も長い(4年以上)
  3. ナンパで結婚するカップルはお見合い婚と同じぐらい多く、婚活手法としてのナンパは有効
  4. 独身男性より結婚している男性の方が人生の幸福度は高い

つまりものすごく乱暴な平均的結論付けをするなら、

  • 結婚はしないよりはした方がいい
  • ライトなナンパでの婚活はあり
  •  “結婚するだけ”ならば比較的早い年齢(遅くとも35才までに)でパートナーを見つけて、長く交際するべき

となる。

 

「そんなことは最初から分かってるわ」

「こっちはそういう相手が見つからないから延々とナンパしとるんじゃ」

「数は正義」

 

といった批判がありそうだが、一個人としては無限にも近い出会いを作り出せてしまう重度のナンパは「選択肢のパラドックスを生んでしまう。

 

アメリカの心理学者のバリー・シュワルツは「選択肢が多ければ多いほど、人は不幸を感じやすくなってしまう」という心理作用を提唱している。

https://www.youtube.com/watch?v=VO6XEQIsCoM

 

選択肢が多いことのデメリットは以下の通り。

  • 無力感が生まれる(=選ぶのが大変)
  • 満足度が下がる(=選択に疑念と後悔が生じる)
  • 期待値が下がる(=比較する対象が増える)

 

またジャムの法則も有名だ。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授が、ドレーガーズという高級スーパーマーケットを舞台に、1995年に行った実験で、「豊富な選択肢は売り上げに貢献する」というお店の方針を実証しようとするものだったが、結果は全く逆になり、24種類のジャムを売り場に並べたときと、6種類のジャムを売り場に並べたときでは、前者は、後者の売り上げの10分の1しかなかった。選択肢が多すぎると人は決定をしなくなってしまう。

 

一橋大学(現立正大学)の北村行伸博士による「結婚の経済学」https://www.ier.hit-u.ac.jp/~kitamura/PDF/P11.pdf)という論文では結婚をゲーム理論を応用した確率式をベースに、経済学の切り口で分析している。結婚における意思決定の箇所を大雑把に要約すると、

  • 出会いを求めてやみくもに人に会ったりするのではなく、自分が経験した出会いの中で、自分が求める条件や判断基準を明確にし、作り上げていくことが重要
  • ただし出会える人が多い人ほどこの判断軸がどんどん変化していき、晩婚化につながりやすく、出会いの総数が多い都会で晩婚化が続いている背景

としている。

つまり多すぎる出会いは結婚の選択・決断にはマイナスになるのだ。

 

自分はもう一般的な感覚を忘れてしまったが、普通の独身男性なら月に2回程度新しい女性とデートするだけでもかなり多い方だと思う。それに比べてナンパ師は出会いを生み出し過ぎている。多すぎる出会いは選択のパラドックスを生み、結果として不幸を感じてしまう。婚活において多過ぎる数は正義とはならない。(まだ結論は時期尚早だが、もしかするとマッチングアプリの普及は未婚率の上昇を招いているのかもしれない)

 

つまり、本当に結婚がしたいなら即だけを追う数追いナンパは今すぐに辞めるべきということになる。50即もしているなら一般に比べて女修行は十分過ぎるし、その過程で得た技術、マインド、メンタリティはそこらの男の追随をまったく寄せ付けないレベルに達しているはずだ。情報収集ももう十分だろう。

 

今度はそれらを使って数や即を追わないライトな婚活ナンパをしてはどうだろうか。具体的には即に囚われない昼ストの健全連れ出しや、比較的真面目なマッチングアプリでの関係構築を狙うようなナンパ的承認欲求にとらわれない自分のためのだけのナンパだ。

界隈では即が正義であり常識だが、世間一般ではどう考えても異常な行為でしかない。もしかすると準即ですら理解されがたいかもしれないし、一般人からすると出会ってすぐの男女が30分後にホテルでパコパコなんて最早空想の産物としか思えないだろう。

またほとんどの人は夜の繁華街をフラフラ歩いていて簡単にナンパについて行ったり、アプリで会った事もない男といきなり直ホするような女と結婚したいとは思っていないはずだ。(もちろん女性がいつまでも所謂“即系”状態にあるわけでなくタイミングの問題なのだが)

 

リアルコミュニティでの出会いを模索してみるのも良いかもしれない。なにせ上記5のとおり日本における結婚に至る出会いのきっかけの約8割は学校、職場、友人関係などのリアコミュだ。リアコミュなら自然と選択肢は限られるし、一旦手を出してしまったら簡単には辞められないから責任も生まれるだろう。

リアコミュがないなら結婚相談所でもなんでもいいから文句を言わずに行くべきだ。(もちろん本気で結婚したいならばだが)

 

それでも「PUAは例外だからこんな平均的なやり方はできない」とか「JDや普通のOLじゃ満足できない、もっと上位層の女を」と思うなら自分のナンパ道を進むのもまた人生。

やりたいようにやって、やり尽くした後に見えてくる風景もあるのかもしれないし、そこまでいけばナンパをきっぱりやめて結婚もできるのかもしれないが、3年近く界隈を眺めていてもその境地まで行ける人は限られているように思う。

 

ここまで書いてきた内容は、ある程度客観的なデータ等に基づいたものであるが、所詮荒いし結論に主観が多いのは否めない。データの解釈も間違えているかもしれないし、それに結婚は一度しかしたことが無いから、自分の主観は統計的には全くの無意味だ。この記事を論破厨が見たら発狂するかもしれないが相手にする気は無い。だってこれは一個人の単なる思いつきなのだから。

 

ただし客観的事実として整形しても遺伝子までは変えられないし、美人も10年経ったら例外なく老ける。そのとき良好な夫婦関係を継続させるために必要な要素は何なのか、ここまでこの記事を読み進めた賢明なナンパ師である貴方ならもう分かっているはずだ。

 

 

 

その女性がもし男であったならきっと友達に選んだだろう、と思われるような女でなければ妻に選んではいけない

ジュベール(フランスのモラリスト、随筆家 / 1754~1824)

 

 

 

 

 

なお、自分と妻との出会いはリアルコミュニティだったし、ナンパ関係を除いた知り合いにナンパをきっかけに結婚した夫婦はいない。

そして一度結婚しても離婚してしまう夫婦が多いのもまた客観的事実である。